「おでこを狭くしたい」と調べていると、植毛と並んで出てくることがある「額縮小手術」。
私自身もおでこの広さに長年悩み、植毛だけでなく額縮小手術も受けています。
ただ、植毛と比べると額縮小手術はまだ馴染みが薄く、名前を聞いただけでは何をする手術なのか想像しにくいかもしれません。
簡単にいうと、額縮小手術は生え際付近の額の皮膚を切除し、頭皮を前方へ移動させることで、おでこの縦幅を短くする手術です。
植毛のように毛を一本ずつ移植して生え際を作るのではなく、髪が生えている頭皮そのものを前に持ってくるところが大きな違いです。
この記事では、額縮小手術を実際に受けた私の経験も踏まえながら、まずは「そもそも額縮小手術とは何なのか」という基本から、植毛との違いやメリット、知っておきたいデメリットまでまとめます。
額縮小手術は「頭皮を前に移動させる手術」
額縮小手術は、英語の医学文献では「forehead reduction」「hairline lowering」「hairline advancement」などと呼ばれています。
基本的な考え方は比較的シンプルです。
生え際に沿って切開し、その下にある余分な額の皮膚を切除します。そのうえで髪の生えている頭皮を前方へ移動させ、生え際付近で縫合します。
つまり、おでこ側から見ると、
【手術前】生え際 ─── 広い額 ─── 眉
だったものを、額の上部を一部切除して頭皮を前へ移動させることで、
【手術後】下がった生え際 ── 短くなった額 ── 眉
という状態に近づけるイメージです。
髪そのものを増やす手術ではありません。
「生え際を下げる」という結果だけを見ると植毛と似ていますが、そこへ至る方法はかなり違います。
実際、何cmくらいおでこを狭くできる?
ここは額縮小を検討する人ならかなり気になるところだと思います。
過去の研究をまとめた2021年のシステマティックレビュー・メタ解析では、801人を対象とした4研究における額の短縮量は、平均1.6cmでした。
一方、2025年に発表された650例の研究では、切除した皮膚の幅は平均2.29cm。2025年の別の21例の研究では、平均22.48mmの額縮小が報告されています。
つまり、研究を見ると1~2cm台程度の変化が報告されているケースが多いことが分かります。
ただし、「額縮小なら必ず2cm下げられる」という意味ではありません。
どこまで頭皮を前進させられるかは、頭皮の柔らかさや可動性、元々の生え際、手術方法などによって変わります。
実際、額縮小手術についての医学レビューでも、適応を考えるうえで頭皮の可動性が重要とされています。
実際に日本と韓国のクリニックで数か所カウンセリングを受けましたが、まず頭皮が動くかどうかチェックされました。
何cm下げられるかについては、自分で数字を決めてしまうのではなく、実際にカウンセリングを受けて確認したほうがいい部分です。
植毛との一番大きな違い
私のように「おでこを狭くしたい」という目的で調べていると、額縮小と植毛のどちらを選ぶべきなのか迷うと思います。
植毛は、一般的には後頭部などから採取した毛包を、生え際など髪を増やしたい場所へ移植します。
そのため、移植直後に完成するわけではなく、移植毛が生えそろうまでには時間が必要です。
一方、額縮小は既存の髪が生えている頭皮自体を前へ移動させます。
そのため、手術直後から生え際そのものの位置が下がっているという大きな特徴があります。
2020年の医学レビューでも、植毛と比較した額縮小の利点として、生え際の密度を維持しやすいことや即時的に位置を下げられることが挙げられています。
ただし、その代わりに額縮小では生え際に沿って切開する必要があります。
額縮小なら一気におでこを狭くできるのが魅力
私自身が感じる額縮小の大きな特徴も、やはりこの即時性です。
植毛の場合、実際に移植をしても、そこから髪が伸びて生え際として完成するまで待つ必要があります。
額縮小は、頭皮そのものを前に移動させます。
そのため、術後の腫れや傷などは別として、「生え際の位置が下がった」という変化自体は手術直後から確認できます。
特に私の場合は、単純に薄毛を改善したいだけではなく、「もともと広いおでこそのものを狭くしたい」という気持ちが強くありました。
この点は、AGA治療薬や植毛とは少し違う問題です。
薬でAGAの進行を抑えることはできても、もともと毛包のない額の皮膚を数cm縮めることはできません。
額縮小は、そうした「額そのものの縦幅」に直接アプローチできる方法の一つです。
ただし、生え際に傷跡が残る手術でもある
ここまで読むと非常に魅力的に感じるかもしれませんが、額縮小は皮膚を切除して縫合する外科手術です。
当然、デメリットや合併症の可能性もあります。
代表的なのが傷跡です。
生え際に沿って切開するため、術後はそこに線状の傷があります。時間の経過とともに目立ちにくくなる場合がありますが、傷の治り方には個人差があり、完全に「傷が存在しなかった状態」に戻ると考えないほうがいいと思います。
2021年のシステマティックレビューでは、報告された合併症として、好ましくない瘢痕、一時的・永続的な脱毛、持続する知覚異常、血腫などが挙げられています。
さらに2026年に発表された14研究・3,213人を対象としたシステマティックレビュー・メタ解析では、瘢痕、漿液腫、毛包炎、切開部の脱毛などが報告されています。
そのため、「皮膚を少し切って縫うだけ」と軽く考えるような手術ではありません。
頭皮のしびれは珍しいことではない
額縮小手術について事前に知っておきたいことの一つが、頭皮の感覚変化です。
2025年に発表された21例の研究では、術後に全患者で頭皮の感覚低下が確認されました。ただし、この研究では全例で2か月以内に改善しています。
2021年の26人を対象とした前向き研究でも、23人に一時的な頭皮のしびれが報告されています。
また、2026年のメタ解析でも一時的な知覚異常は非常に高い頻度で報告されました。
つまり、額縮小後に生え際や頭皮の感覚が一時的に鈍くなること自体は、医学文献でも繰り返し報告されています。
多くは一時的なものとして報告されていますが、過去の研究では持続する知覚異常も報告されているため、「必ず元通りになる」とまでは断定できません。
誰でも額縮小に向いているわけではない
額縮小は、おでこが広ければ誰でも適しているわけではありません。
そして特に男性の場合、将来的なAGAについて考える必要があります。
額縮小によって現在の生え際を前へ移動させても、その後AGAによって髪が後退していけば、傷跡との位置関係や生え際の見え方が変わる可能性があります。
2020年のレビューでは、安定した前頭部の生え際が適応条件とされ、そのため多くの男性は適応から外れるとされています。
2025年の650例の研究でも、男性型脱毛症など、長期的な結果へ影響する毛髪疾患を考慮して患者を選択する重要性が指摘されています。
男性で額縮小を検討する場合は、現在のおでこの広さだけでなく、「この先、生え際がどう変化する可能性があるか」まで含めて相談したほうがいいと思います。
私は植毛も額縮小も受けました
私はこれまで、おでこの広さや生え際に対して植毛と額縮小の両方を経験しました。
だからこそ感じるのは、この二つは似ているようで、実際にはかなり違う手術だということです。
植毛は「髪をどこに配置するか」という発想に近く、M字部分を埋めたり、生え際の形を細かく作ったりすることができます。
一方の額縮小は、髪が生えている頭皮を前へ動かすことで「額そのものを短くする」という発想です。
私はもともとの額の広さそのものがコンプレックスだったので、最終的に両方の方法を経験することになりました。
ただ、これは「両方やればいい」という話ではありません。
植毛にも額縮小にも、それぞれ向いている悩みとデメリットがあります。
私自身の手術前後の変化や、実際に受けて感じたことについては、今後の記事でも詳しく残していきます。
額縮小は「おでこの皮膚を切って、頭皮を前に移動する手術」
額縮小手術を一言で説明するなら、これが一番分かりやすいと思います。
額上部の皮膚を切除し、髪の生えた頭皮を前方へ移動させることで、生え際を下げて額の縦幅を短くする手術です。
研究では平均1~2cm台程度の短縮が報告されており、植毛とは違って、生え際の位置そのものを手術直後から変えられることが特徴です。
一方で、生え際の傷跡、頭皮のしびれ、切開部周辺の脱毛など、外科手術ならではのリスクがあります。
さらに、男性の場合は将来的なAGAとの関係も無視できません。
「おでこを狭くできるならやってみたい」と思ったときには、何cm下げられるかだけではなく、自分の生え際が安定しているのか、頭皮をどこまで動かせるのか、将来的な薄毛の可能性まで含めて診察を受けることが重要です。
私自身は植毛も額縮小も経験しているので、今後は傷跡、ダウンタイム、実際に何cm変わったのか、植毛と比べてどうだったのかなど、経験者だから書ける部分も詳しくまとめていこうと思います。
参考文献
・Alabdulkarim A, et al. Forehead Length Reduction Surgery: Quantifying Complications and Outcomes Through Systematic Review and Meta-Analysis. Aesthetic Plastic Surgery. 2026.
・Vila PM, et al. Forehead Reduction: A Systematic Review and Meta-Analysis of Outcomes. Facial Plastic Surgery & Aesthetic Medicine. 2021.
・Epstein J, Epstein GK. Hairline-Lowering Surgery. Facial Plastic Surgery Clinics of North America. 2020.
・Espinosa J, et al. Forehead Reduction Surgery with Hairline Advancement. Facial Plastic Surgery. 2025.
・Marques PA. Forehead Reduction Surgery: Outcomes and Complications of 650 Cases in a Multiracial Population. Aesthetic Plastic Surgery. 2025.